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【耳鳴りにお悩みの方へ】原因と漢方薬について解説

耳鳴りイメージ

「キーン」などの音が鳴っているように聞こえる耳鳴り。

耳鳴りが1日中気になって仕事に集中できなかったり、会話が聞き取りにくかったりして不便を感じていませんか。また、耳鳴りの辛さを理解してもらえず辛さを感じてしまうこともあるでしょう。

耳鳴りは日常生活に支障をきたすものの、痛みを伴わない場合が多いため放置している方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、脳腫瘍や脳梗塞などの病気が原因で耳鳴りが発生している場合もあるほか、耳鳴りが一日中鳴りやまずにうつ状態となってしまう方もいます。そのため、「たかが耳鳴り」と思わずに対処することが大切です。

耳鳴りの治療方法は、薬の内服を中心に局所療法などを行うことが一般的ですが、漢方薬による処方もあります。

今回は、耳鳴りの原因について理解いただき、漢方薬の処方について解説いたします。

耳鳴りとは

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耳鳴り(耳鳴)とは、実際には音がしていないのに、何か鳴っているように聞こえる現象をさします。実は、耳鳴りとは一般的に難聴とともに出現することが多いものです。

耳鳴りは、本人のみ聞こえる『自覚的耳鳴(じかくてきじめい)』と聴診器などを使えば外部からも聞くことができる『他覚的耳鳴(たかくてきじめい)』に分けられます。※1

※1一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki2/mimi_condition.html

耳鳴りの原因

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耳鳴りの原因は、自覚的耳鳴と他覚的耳鳴によって異なります。

他の人からも聞こえる他覚的耳鳴は、筋肉のけいれんや血管病変による拍動が原因として知られています。※2

一方、自覚的耳鳴の原因はさまざまです。外耳炎や中耳炎、難聴やメニエール病など、耳が原因となって発生する場合と、高血圧や脳腫瘍、脳梗塞などの病気によって引き起こされる場合、さらにストレスや老化によって引き起こされる場合があります。※3

※2 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki2/mimi_condition.html#mimi_4

※3 一般社団法人 千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/056.html

耳鳴りの症状

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一般的な耳鳴りの症状と原因をみていきましょう。

耳鳴りが片耳から聞こえる場合は、突発性難聴やメニエール病、聴神経腫瘍などが原因となる場合があります。

両耳から耳鳴りがする場合は、老人性難聴や騒音性難聴が原因として挙げられます。

耳鳴りの音が「ザー」と低音の場合、耳垢栓塞(じこうせんそく)や耳管狭窄(じかんきょうさく)、ほかにも耳硬化症(じこうかしょう:難聴が徐々に進行する疾患※4)などが考えられる原因のひとつです。

そして、「キーン」という金属音のような耳鳴りの場合は、メニエール病や突発性難聴、ストレスなどが原因の場合があります。

また、耳鳴り以外にも耳が遠くなったりめまいがしたり、全身に不快感があったりといった症状が一緒に起こる場合もあるでしょう。※5

※4 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000224.html

※5 一般社団法人 千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/056.html

耳鳴りの治療方法

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一般的な耳鳴りの治療方法について、病院で行うことと市販薬の観点からお伝えします。

病院で行うこと

病院では、検査を行ってから治療を行う流れが一般的です。検査は、耳鳴りの大きさや音の特徴などを、機械の検査音と比較しながら医師に伝えていきます。

治療は薬の内服による療法が中心です。大学病院などでは、耳の中に薬物を噴霧する局所療法や心理療法が一般的です。一般病院では、局所療法のほかに、耳管通気が多くなります。診療所においても、耳管通気が内服療法に次いで多い傾向があります。

耳鳴りに対する薬剤として、副腎皮質ステロイド薬や、血管拡張薬、ビタミン剤などがあります。耳鳴音の軽減のためには、抗不安薬や筋弛緩薬が使われています。耳鳴りの患者さんの場合、肩こりがある場合が多いので、頸筋の過緊張を軽減させる目的で筋弛緩薬が使われる傾向があります。

しかしながら、薬物などの医学的な治療には限界があるため、外部の雑音によって耳鳴りの音を抑制する『耳鳴マスカー療法』が行われる場合もあります。耳鳴マスカー療法とは、2時間程度耳鳴りが完全に遮断できる雑音の音圧を与える療法です。

ほかにも、カウンセリングと音響発生器を組み合わせて治療する『TRT』と呼ばれる治療法があります。TRTは耳鳴りをなくすことが目的ではなく、耳鳴りによる苦痛度を軽くさせることが目的の治療法です。※6

※6 耳鳴の診療 ―疫学から治療まで―(小田恂)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo1958/49/4/49_4_162/_pdf

市販薬の内容

耳鳴りの改善を謳った内服薬も市販されています。

市販薬で謳われる有効成分としては、パパベリン塩酸塩やニコチン酸アミドによって血行を改善し、ビタミンB群によって神経の調子を整えて代謝アップを図るものがあります。

耳鳴りの市販薬によっては、眠気の副作用が現れることがあり、薬の使用後は車や機械類などの運転操作はできないものがあるので気をつけましょう。※7

※7 ナリピタン (原沢製薬工業株式会社)
https://www.harasawa.co.jp/naripitto/

漢方処方

耳鳴りの対応は、加齢により腎の働きが落ちたタイプ(腎虚)の耳鳴りと、ストレス性の肝の亢進(肝欝)によるタイプのもので選薬が異なります。体調も複合的に症状を持つ方が多く、皮をむくかのように順に不調を改善させていくので、最終薬はある一定期間服用していただくことにはなりますが、体調が安定するまでは服用薬を変化させていきます。したがって、薬を選ぶにあたっては、現在の体調や生活環境、悪化条件など日常の細かい問診を経て行いますので、必ずご本人と対応します。

一般的には、下記のような漢方が処方されます。

釣藤散(ちょうとうさん)

釣藤散(ちょうとうさん)は、体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、首から後頭部にかけての肩こりなどがあり、慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向がある場合に処方されています。※8 頭重・頭痛、肩こりを合併した耳鳴に有意に有効とされている漢方です。※9

※8 一般用漢方製剤の安全性確保に関する研究 釣藤散の確認票
https://www.nihs.go.jp/dpp/kampo-anzen/list_pdf/025_chotosan.pdf

※9 鈴木敏幸. 耳鳴に対する釣藤散の臨床効果.耳鳴・眩暈の病態と治療. 第 28 回千葉東洋 医学シンポジウム. 九段舎 2001: 8-20. 医中誌
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/010004.pdf

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、動悸、めまい、嘔気などを伴う方で、不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感などがある方に使います。※12また、めまいを改善させる傾向があります。※13

※12 一般用漢方製剤の安全性確保に関する研究 半夏厚朴湯の確認票
https://www.nihs.go.jp/dpp/kampo-anzen/index.html

※13 Ino T, Odaguchi H, Wakasugi A, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial to evaluate the efficacy of hangekobokuto in adult patients with chronic tinnitus. 和漢医 薬学雑誌 2013; 30: 72-81. 医中誌 Web ID: 2013310385
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/130005.pdf

八味逍遥散(はちみしょうようさん)、加味逍遙散(かみしょようさん)

ストレス性の金属音の耳鳴りに使います。耳閉感をともなう事が多く、頭の中で自分が発する声が反響する方や、突発性難聴の方にも使います。便秘、肩こり、冷え、いらいらのある場合が多いです。

腎気丸(じんきがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

腎虚の方の耳鳴りに使います。低温のセミが鳴くかのような音が、両耳で聞こえる場合が多いです。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)も耳鳴りのときに一般的に処方される漢方のひとつです。※10
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量が減少しむくみがあり、口の渇きがある方で、下肢痛や腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目や、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状(肩こり、頭重、耳鳴り)の改善として使われます。※11

※10 大西信治郎. 耳鳴・難聴の漢方治療. JOHNS 1990; 6: 535-9.
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/900014.pdf

※11 一般用漢方製剤の安全性確保に関する研究 牛車腎気丸の確認票
https://www.nihs.go.jp/dpp/kampo-anzen/list_pdf/011_goshajinkigan.pdf

サプリメント

蜂の子

 多くのコマーシャルを目にします。筆者は養蜂家のもとで育ちましたが、効果があったと確証を持てる例には、まだ遭遇していませんので、コメントできません。

日常生活の対策

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日常生活における対策として、耳鳴りが気にならない環境にするほか、生活習慣を整えることが挙げられます。

具体的には、騒音性の耳鳴りの場合は、無音の環境では耳鳴りの音が気になってしまうため、耳鳴りよりも小さな音を聞き続けて耳鳴りが気にならないようにする方法です。適度な音量でBGMを流したり、自然な音がある環境を作ったりする方法があります。

また、睡眠を十分にとり、適度な運動と規則正しい食事を心がけるなど健康的な生活を送ることも大切です。※14 睡眠不足やストレスなどは耳鳴りの悪化の要因となるため、過労を避けて、音楽やスポーツなどのストレス解消方法を行うことも対処法です。※15

食生活においては、栄養バランスを意識するのはもちろん、耳鳴りの処方薬としても使用されるビタミンB群を意識して摂りましょう。特に末梢神経系のビタミンB12が豊富なしじみやあさり、まいわしやレバーがおすすめです。※16

※14 一般社団法人 千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/056.html
※15 医療法人社団 杉本クリニック
https://sugimoto-clinic.or.jp/sinryounaiyou/tinnitus/
※16 ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html

適切な漢方の使用と日常生活で不快感を軽減

耳鳴りの原因と治療法についてお伝えしました。

耳鳴りはさまざまな原因があり、原因によって対処法が異なります。ストレスや過労が原因である場合もあるため、日常の生活習慣でストレス対策を行うことも大切です。

耳鳴りが軽減することで、日常生活における不快感が軽減され、仕事や趣味がより充実するでしょう。自己判断せず、医療機関や薬局で相談のうえ、対処することをおすすめいたします。

笠原健招堂薬局では体調を確認したうえで対応しています。

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