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線維筋痛症の治療法とは?辛い痛みの原因と漢方処方を解説

「痛みで動きがコマ送りになる」「カッターで切り付けられるような痛み」「針で刺されるような痛み」など、痛みが全身に発生する『線維筋痛症(せんいきんつうしょう)』。全身に激しい痛みが続くことで日常生活に大きな支障をきたす病気です。さらに、痛み以外に身体・神経・精神に症状が及ぶ点が特徴です。

今回は、線維筋痛症の原因と症状、さらに一般的な治療法や漢方処方、当店で実際に行って改善している方法をお伝えします。

線維筋痛症とは?


線維筋痛症とは、3ヶ月以上の長期にわたって、身体の広い範囲に痛みが持続・再発する病気です。さらに、傷みだけではなく、激しい疲労や抑うつ、物忘れなどをさまざまな症状が発生する点も特徴です。

ひとりで痛みに悩んでいると「なんで私だけ?」と思いがちですが、患者数は意外と多く、日本の人口の2.1%(約212万人)といわれて(※2012年インターネット調査より)います。
男女比は1:4.8で女性が多く、患者平均年齢は52歳と成人以降に発症することが多いようです。

線維筋痛症は、慢性的な痛みやさまざまな不調によって、日常生活における動作や生活の質が大きく損なわれてしまうため、早めの受診が必要な病気ではありますが、保険治療の中で特効薬が無いのも現実で、この後の項でお示しするような方法で日常をケアされています。

全身に激しい痛みが発生

全身に激しい痛みが発生する点が線維筋痛症の特徴であり、「身体がナイフで切り裂かれるような痛み」「ガラスの破片で傷つけられるような痛み」と表現されることがあります。

さらに、季節や天候、身体活動、精神的ストレスによって痛みが悪化するほか、重症化すると、爪や髪へといったささいな刺激や、温度・湿度の変化、音などのわずかな変化で激痛が走り、自力での生活は困難となってしまうのです。

線維筋痛症の強烈な痛みによって仕事や家事、睡眠にも影響を及ぼしてしまうことがあります。

身体・神経・精神に併発症状が発生

激しい痛みで苦しむ線維筋痛症ですが、さらに追い打ちをかけるものが身体症状や神経・精神症状などの併発です。

身体症状としては、冷えやほてり、疲労、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、動機、めまい感などがあります。

神経・精神症状としては、抑うつ気分や物忘れ、集中力低下などがあり、日常生活にも支障をきたす場合があります。

診断が遅れる場合も

線維筋痛症の診断には、1990年のアメリカリウマチ学会の分類基準が活用されており、下記3点の診断基準があります。
 ①広範囲にわたる疼痛の広がり
 ②触診の際に圧痛点(押すと痛みを感じる場所)が基準の18カ所のうち11カ所以上
 ③3カ月以上継続する慢性疼痛

また、圧痛点は下記の部分が挙げられます。

米国リウマチ学会(ACR)1990年 線維筋痛症分類基準の圧痛点 ※線維筋痛症診療ガイドライン2017より引用

線維筋痛症は、血液検査やエコー検査などの検査を行っても患者に共通した特徴的な異常がみられないため、一般的な病気のように検査結果の数値で判断できません。そのため、線維筋痛症の診断が遅れてしまう場合もあるのです。

社会生活が著しく困難に

激しい痛みを伴う線維筋痛症ですが、身体の組織が破壊されているわけではありません。

また、線維筋痛症が原因で死亡するという報告も現在のところなく、発症や耐え難い痛みによって生命が脅かされることはないといえます。が、痛みや併発の症状によって仕事や家事などが思うようにできず、社会生活が著しく困難になってしまうことがあります。

さらに、外傷や変異が起こらず目に見えない痛みであり、さらに一般的な検査結果でも異常が見られにくい病気のため、周囲の無理解・誤解による精神的苦痛も強くなってしまいます。

線維筋痛症の原因


残念ながら線維筋痛症の原因は不明のため、原因を対処したりや根治したりする方法がありません。また、発症の引き金についても明らかになっていないのです。

ここでは、一般的に考えられている線維筋痛症の原因を解説します。

痛みを感じるネットワークが過敏

線維筋痛症は、痛みを感じるネットワークが過敏になっていると考えられています。

痛み刺激を脳に伝える上行性経路と呼ばれる部分において、中枢の興奮経路が活性化されると、痛みを強く感じてしまうのです。さらに、痛みを抑える経路である、脳から末梢神経へとつながる下行性の疼痛抑制経路と呼ばれる部分においても障害が起こることが考えられています。

いまだ原因が不明である線維筋痛症ですが、身体において痛みのある部位に原因があるのではなく、痛みを感じる脳のネットワークに何らかの原因があるとされています。

肉体的・精神的ストレスも原因

さらに、肉体的・精神的なストレスも線維筋痛症の原因として挙げられます。

肉体的ストレスとしては、外傷や、出産、各種ワクチン、変形性関節症、全身性エリテマトーデスなどの膠原病リウマチ疾患、心疾患、片頭痛などがあります。

精神的ストレスとは、抑うつ気分や双極性障害、不眠、不安などです。

他にも、炎症や免疫異常、アルコールなどによるストレスも線維筋痛症の原因として考えられています。

線維筋痛症の治療法


お伝えした通り、線維筋痛症は原因が不明であるため、一般的には原因療法や根治療法を行うことができません。治療として、まずは線維筋痛症の診断を受け入れて、病気に対する正しい理解を持つことが重要です。

線維筋痛症の治療として一般的な薬物療法と非薬物療法についてお伝えします。

病院での特効薬は未開発

残念ながら、線維筋痛症の特効薬は現在のところありません。また、現在の薬物療法では、線維筋痛症の痛みを完全に消失することは困難です。

一般的な痛み止めとして鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬)がイメージされやすいですが、鎮痛薬であるロキソニン(ロキソプロフェン)やボルタレン(ジクロフェナック)、副腎皮質ステロイドホルモンは有効ではありません。

そのため、市販されている痛み止めを自己判断で飲むことは解決に繋がらないのです。

主な治療薬

線維筋痛症の主な治療薬は、大きく3つに分けられます。

1つ目は、神経障害性の痛みに有効なリリカ(プレガバリン)です。リリカは、2012年に保険適用が承認された治療薬であり、過剰興奮状態を抑えて痛みを緩和する働きがありますが、有効性に差があり、体重増加や浮腫、めまいなどの副作用が現れる方があり、注意が必要です。

2つ目は抗うつ薬です。サインバルタ(デユロキセチン)、トリプタノール(アミトリプチリン)などがあり、脳内セロトニンやノルアドレナリンを増加させて痛みのブレーキ作用を強めます。
副作用として、傾眠や悪心(吐き気)、口渇などがあり、に注意が必要です。

そして3つ目は、弱オピオイド系と呼ばれる薬です。トラマール(トラマドール)やトラムセット(トラマドールとアセトアミノフェン配合剤)、ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)などがあります。精神依存のリスクがあるため一定期間で終了する薬剤となっています。

このように、線維筋痛症の痛みに対処する薬物療法には、それぞれ副作用やリスクがあるといえます。

非薬物的療法も推奨

線維筋痛症は、薬以外にも非薬物療法も奨められており、大きく運動療法と精神・心理療法に分けられます。自分の体調や痛みと相談しながら行うことが大切です。

線維筋痛症の運動療法には、有酸素運動や、筋肉に負荷をかける運動であるレジスタンス運動のほか、ヨガや太極拳、気功といった瞑想運動などがあります。いずれの運動も、毎日少しずつの運動を継続することが重要です。

精神・心理療法として、ストレスがかかりにくい受け止め方に変える認知行動療法や、マインドフルネス瞑想などがあります。

薬物療法と比較して、副作用やリスクがほとんどない点が非薬物療法のメリットといえますが、日本では非薬物療法の指導者が少ないため、対応する指導者を探すのが困難な状況です。

漢方を使った一般的な線維筋痛症の治療


線維筋痛症の治療方法として、ほかにも漢方処方があります。

漢方処方は、患者さんそれぞれの体調に合わせた処方を組み立てていくため、患者さん本位の治療を行えることがメリットです。

ここでは、一般的に線維筋痛症の症状において処方されることの多い漢方処方について解説します。

葛根湯(かっこんとう)

  1. 頭痛
  2. 肩こり
  3. 筋肉痛
  4. 手や肩の痛みがある方
  5. 鼻かぜ、鼻炎

葛根湯は、痛みがある時に使われる、比較的体力がある人向けの漢方です。元々、初期に短期に服用するタイプの漢方処方です。

葛根湯の主成分の麻黄(まおう)と呼ばれる生薬によって、高血圧や緑内障、尿の出が悪くなる方があり、減量する場合があります。漫然と服用することはおすすめできません。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

  • 下腹部痛
  • 肩こり
  • 頭重
  • めまい
  • のぼせ
  • 足冷え、しもやけ
  • 皮膚炎
  • 月経痛、月経不順、月経異常
  • 桂枝茯苓丸は、漢方におる瘀血(おけつ)体質(血の流れが悪くなり滞っている状態)に対応する処方です。

    比較的体力がある人向けの漢方であり、滞った血のめぐりを良くすることで、女性特有の悩みである月経痛や月経不順なども改善する漢方です。

    大柴胡湯(だいさいことう)

  • 高血圧などによる肩こり
  • 神経症
  • 便秘
  • 胃炎
  • 肥満症
  • 脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しい方
  • 大柴胡湯は比較的体力が充実している人向けの処方であり、サイクルの乱れを整える働きがあります。

    なお、大柴胡湯の成分大黄には、センノシドと呼ばれる下剤成分が含まれます。便が出すぎる場合は、減量する必要がありますし、妊娠中の方へはおすすめできません。

    蒼朮(そうじゅつ)

  • 肩や腕の痛み
  • 発汗
  • 除湿
  • 潟剤
  • 蒼朮は、痛みを鎮めるほか、滋養強壮や胃の健康のために使われる生薬です。
    通常、他の生薬と共に漢方処方に配合して使い、単味で使用することは少ないです。

    肩や腕の痛みに対して蒼朮が使われることがあり、葛根湯で効果が不十分な場合に使われることがあります。

    附子(ぶし)

  • 鎮痛
  • 利尿
  • 強心
  • 新陳代謝の機能亢進
  • 附子は、からだの機能の衰えから来る冷えや痛み・浮腫に他の生薬と共に漢方処方に配合して使い、単味で使う事は少ないです。他の処方の効きが鈍いときに使用されるほか、蒼朮と併せて使われることもあります。

    一方、附子は毒力があることや、使用の目的によって量を調整する必要があるため、服用の際は注意が必要です。

    当店で行っている栄養療法と行動療法

    栄養補充療法

    線維筋痛症の患者を前にして、いろいろ考えあぐねた結果、試してみて奏功のあったのが、この方法です。飲むだけなので簡単で、かつ早い方は当日から体調改善しています。

    線維筋痛症に栄養素補充を行うわけ

    ヒトのからだは、エネルギー源を摂り、さらに微量栄養素と言われるビタミンやミネラルを見合うだけ取って、正常にからだを動かしたり体温を得るエネルギーを作り出しています。
    そもそも、線維筋痛症の方は日々痛みと言う大きなストレスにさらされています。ヒトのからだは、ストレスに遭うと次の尿中に、カルシウム・マグネシウム・亜鉛などのミネラルを中心とした栄養素を排せつしてしまうことを元国立健康栄養研究所の西牟田守先生は明らかにしています。(参照:腎臓尿路結石の項) 研究で排泄を明らかになった栄養素以外にも当然、ほかの微量栄養素も排泄されている可能性はあります。そこで、尿中に排泄された可能性のある微量栄養素を、一物全体食と言われる天然のクロレラ製剤の、さらにクロレラの固有種にある粘液物質を添加させた栄養補給剤で補給しました。

    クロレラの固有種の持つ粘液物質を使うわけ~糖鎖を豊富に含んでいるから

    豊富に糖鎖を含んでいるからです。
    古い話ですが、2000年1月31日の読売新聞の一面に、「国が27億円を投じて、官民一体となって糖鎖の研究を始める。」と発表がありました。それらの研究開発プロジェクトの主力を国立研究開発法人産業技術総合研究所(現、新エネルギー・産業技術総合開発機構)が担って来ていて、2015年に世界初、肝線維化の進行度に関わる新たな糖鎖マーカーを見い出しています。

    その糖鎖ですが、そもそもすべての細胞同士が正常につながって元気に働いていれば、病気になることなんかありません。自然治癒力も免疫力も正常にはたらきます。この細胞同士を正常につなげ、かつ情報を情報として認識をするアンテナとなっているのが糖鎖です。

    この糖鎖は、単糖類からなる8つの糖鎖栄養素の複雑な組み合わせからできていて、そのうち2つは食品からとる事が出来ます。が、残りの6つは食品からとることができず、肝臓で作られています。

    ところが、このクロレラの固有種の持つ粘液物質の中には、8つの糖鎖栄養素の内7つまで含まれているのです。そこで、一物全体食とも言える栄養素群とともに摂れば、エネルギー代謝を正常化するばかりか細胞を正常化しやすいと考えました。

    結果論に聞こえるかと思いますが、目の前で体じゅうの痛みで身をよじっている方をそのままにしておくことも出来ず、自分の考えのまま摂っていただいたところ、その日のうちに痛みが軽くなっていったのです。最初の方は、もともとアレルギー疾患の方、次はたまたまアレルギー疾患持ちの自分が過労で体じゅうが痛くなった時、最近では糖尿病の若者にも摂っていただきましたが、みな同様に痛みが取れています。

    糖尿病の若者などは、ロボットのようにぎくしゃく顔をしかめて店内に入って来ていたのが、店内で口に含んでいただいたところ、問診をしている間に「体が軽くなって来た!」と笑顔を見せはじめ、帰りはスキップして帰っていきましたから、分かりやすかったですね。

    糖鎖の事を考えると、粘液物質だけでも良さそうに思えますが、微量栄養素も同時に混合摂取した時の方が改善が良かったので、今でもそのようにしています。

    行動療法

    行動療法と言う言葉は、2000年より前に当時大分大学医学部の坂田利家先生が肥満改善のために提唱されたと覚えています。当店では、グラフ化体重日誌を肥満など生活習慣病の改善に使っていますが、それ以外にも、漢方的に簡単な行動療法を行っていただいています。

    どのように使うかと言うと、病気になるには何らかのきっかけや引き金になるものがあると思います。現在の状態の悪化条件や、細かく日常をお聞きして、悪化の原因となる体調を探り出し、漢方薬でサポートしながら、悪化させやすい日常生活に気づいて行っていただきます。
    「ただ、薬を飲むだけ」「栄養素を補給するだけ」よりも、改善しやすく再発しにくいと思うからです。


    このように、線維筋痛症の詳しい原因は未だ不明ではありますが、精神的・肉体的ストレスは症状をさらに悪化させると考えられていて、そのひとつひとつに気づき、栄養や漢方薬でサポートして行くことで、改善へとつなげていくことができます。

    海外の報告によると、肥満またはBMIが高い方は線維筋痛症になりやすいことや、線維筋痛症に罹患している肥満またはBMIが高い方は痛みや疲労感をはじめさまざまな症状が強く、抑うつが多く、記憶障害が強いという報告があります。
    これはもっともな話で、栄養バランスが崩れると、肥満もするし、眠りの質が悪くなって疲労が取れにくくなるし、アレルギーも起こしやすくなります。

    ですから、肥満の方が減量すると、QOLや抑うつ、睡眠の質、さらに圧痛点の数が有意に改善されることも分かっています。

    さらに、食品添加物であるアスパルテームやグルタミン酸ナトリウムの摂取を制限することで、症状が改善した報告も挙がっています。アスパルテームとは人工甘味料のひとつであり、清涼飲料水や菓子などに含まれています。グルタミン酸ナトリウムは、うま味調味料に含まれる成分です。

    これは、食品添加物が、体内のミネラルを尿中に排泄させたり、添加物の代謝のためにビタミンやミネラルが使われてしまうため、栄養バランスが崩れてしまうためです。
    (栄養バランスの崩れに関しましては、「こちら」を参考にご覧ください。)

    調理の際は人工甘味料やうま味調味料の使用を避け、天然の調味料や昆布、かつおなどのだしを使うようにしましょう。レトルト品などは添加物が使われていることが多いため、できるだけ避けるか、食品パッケージの裏の成分表を確認するといいですね。

    症状に合わせた漢方処方と非薬物的治療を

    以上、線維筋痛症の症状と改善法、日常生活の注意点などについてご紹介しました。
    線維筋痛症は、原因が不明で特効薬がありませんが、服用していただいても害のない改善方法を日々探っております。

    線維筋痛症は激しい痛みによって日常生活に大きな影響を及ぼすことや、周りから理解を得られないことで精神的にも負担がかかる疾患です。ひとりで悩まず、まずはご相談ください。
    笠原健招堂薬局では体調を確認した上で対応しております。

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