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尋常性白斑(白なまず)とは?原因と治療法を解説

皮膚炎イメージ

尋常性白斑(白なまず)は皮膚の病気の一種であり、難病に指定されています。著名な芸能人が尋常性白斑を患っていたことを耳にしたことがあるでしょう。尋常性白斑は治療によって、少しずつ赤みが差していき、体毛周辺から色素の斑点が見え、次第に正常な皮膚と識別できなくなるように改善していきます。
尋常性白斑の原因として自己免疫説などもありますが、不明な点も多い現状です。尋常性白斑は整容面で精神的なストレスとなるほか日常生活の質にも影響を及ぼすことがあるので、治るのか、どんな治療法が良いのか気になるでしょう。

自然治癒は期待できない上、早期治療をしようにも気づいた時には出来ていて、その上受診して治療しようにも「治りにくい」と宣言されるだけで、あきらめて隠す方法を探すのが精一杯です。この記事では、尋常性白斑の原因と治療法、さらに漢方を使った療法についてご紹介いたします。

Contents

尋常性白斑(白なまず)とは?

白なまずのイメージ

尋常性白斑とは、色素が脱失する皮膚疾患の一つです。さまざまな大きさや形の乳白色の斑点ができ、通常は進行性である場合が多くなっており、平成22年度に難病指定されている疾患です。

ちなみに、「白なまず」は尋常性白斑の俗称です。

メラノサイトの減少・消失で尋常性白斑が発症

尋常性白斑は、メラノサイトの減少や消失によって引き起こされます。

皮膚の基底層という部分に分布するメラノサイトと呼ばれる色素細胞が、何らかの原因で減少・消失することによって発症するのです。

メラノサイトは紫外線から皮膚を守るためにメラニン色素を産生しますが、メラノサイトの減少や消失によって皮膚の色が白く抜けていき、毛髪のある部分は白髪になります。

尋常性白斑の患者は人口の0.1~2%

尋常性白斑の患者は乳幼児から高齢者まで幅広く、頻度は人口の0.1~2%といわれています。

見た目において患者さんの社会的なQOL(生活の質)を大きく損なうことが問題です。

そのため、確定診断による早期発見や早期治療を開始することが、患者のQOLの維持において不可欠といえるでしょう。

尋常性白斑は大きく3タイプに分かれる

尋常性白斑は大きく『汎発型』『限局型』そして『分節型』3つのタイプに分けられます。

汎発型は、全身に起こり、対称性で広範囲に白斑が見られます。限局型は、1個から数個の白斑が局所に発生します。そして、分節型は皮膚の神経に沿って白斑が見られます。

タイプによって治療の選択肢が異なる場合もあります。

尋常性白斑の原因

皮膚を気にする女性

尋常性白斑の病因としては、自己免疫説や自己細胞障害説、ほかにも末梢神経異常説などが唱えられていますが、不明な点も多い現状です。

先天性と後天性それぞれの白斑の原因についてみていきましょう。

メラニンやメラノサイトが要因となる先天性白斑

先天性は、メラニン色素合成遺伝子の変異や欠失、メラニンの細胞内輸送分子の異常、ほかにもメラノサイト遊走因子遺伝子の変異や欠失、メラノサイト幹細胞の異常などが原因となります。

自己免疫やメラノサイトの障害が要因となる後天性白斑

後天性は、抗メラノサイト抗体やメラノサイト障害性T細胞といった自己免疫性や、疾患感受性遺伝子が起因すると考えられています。ほかにも、酸化ストレスなどによるメラニン産生の障害、薬剤・化学物質によるメラノサイトの障害も原因として考えられるひとつです。また、梅毒などの感染症によって引き起こされるケースもあります。

尋常性白斑の一般的な治療法

医薬品のイメージ

尋常性白斑は生命を脅かす病気ではなく、美容的な問題として取り上げられることが多いですが、患者さんのお悩みは深刻です。

尋常性白斑の治療は、内服、外用、紫外線療法、さらに外科的治療など多岐にわたります。それぞれの治療法についてみていきましょう。

初期の白斑で使用される副腎皮質ホルモンの外用
副腎皮質ホルモンの外用は、ほぼ100%近くの施設で使用されている治療法です。

主に体表面積が10~20%の白斑の場合は、治療の第一選択肢となります。内服に比べて副作用が少なく、初期の白斑では外用のみで色素が再生するケースもあります。

一方で、古い白斑には効きにくいデメリットもあります。また、長期使用によって毛細血管の拡張や皮膚萎縮といった副作用が発生する場合もあるので、効果がみられない場合はその他の治療を検討する必要があります。

紫外線照射とセットで行うオクソラレンの内服・外用

内服・外用ともにオクソラレンも治療として使われるケースがあります。

内服・外用ともに、薬の使用と併せて日光浴もしくは人工紫外線の照射が必要になります。内服の場合は薬を服用してから2時間後、外用の場合は白斑の部分に適量を湿布してから1~2時間後に日光浴もしくは人工紫外線の照射を行います。

同一の白斑部位においては、1週間に1~3回程度の治療が望ましいとされています。また、副反応として発赤や水泡が生じることもあるので注意しましょう。

比較的広範囲の治療に有効な紫外線療法

光感受性薬剤を外用もしくは内服した後に紫外線治療を行う療法です。紫外線治療は、汎発型など比較的広範囲な場合の治療に有効と考えられています。

紫外線治療の中でも、一般的なものはPUVA療法と呼ばれるものです。また、近年はPUVA療法に代わってナローバンドUVB(NBUVB)と呼ばれる照射療法も取り入れられており、副作用の少なさから注目を集めています。

NBUVB照射は、色が出てくる過程でまだら模様になってしまうほか、白斑の部分と周囲のコントラストが目立ってしまう問題点も残っています。また、色の出てこない部位があるなど、白斑部をすべて治すのは難しいといったことも念頭に置いておきましょう。

メイクや外科的治療

外科的治療は、大きくカモフラージュメイクと皮膚移植術といった外科的手術、さらに残った色素を脱色する方法もあります。

カモフラージュメイク療法は、QOLの改善を目的として、白斑専用のカモフラージュ化粧品でメイクを施します。メイクのため、尋常性白斑を治療する効果はなく、さらに保険適用されない点に注意が必要です。

皮膚移植術や角質層の着色などの外科的手術は、1年以内に進行がない症例において、整容上問題となる部位のみに行われることが推奨されています。

ほかにも、大部分が脱色した進行性白斑は、残った色素を脱色する場合もあります。主に欧米において最も重症な患者さんへ適応されていますが、日本における試行数は少ない現状です。

漢方を使った療法

漢方薬のイメージ

お伝えした通り、尋常性白斑の治療には薬の内服、外用、紫外線療法、外科的治療とさまざまな方法がありますが、漢方薬が取り入れられることもあります。

漢方薬はその方の体質を見ながら適したものを選ぶことが大切です。薬局において、患者さんそれぞれの体調や体質をお聞きして選択していきますが、ここでは尋常性白斑の治療で一般的に使用されることが多い漢方薬をご紹介します。いずれの漢方薬も、体調を確認した上でお選びするものですから自己判断での服用はおすすめしません。

身体を内側から温める温清飲

尋常性白斑の療法に使われる漢方として、温清飲(うんせいいん)があります。

温清飲は、身体の内側を温め、滋養強壮や血液の循環改善の働きがある四物湯と呼ばれるものと、黄連解毒湯と呼ばれる身体の外の熱を冷やして消炎や解熱、鎮静などの働きをするものを合わせた漢方です。

アトピー性皮膚炎をはじめとする慢性の炎症や体質改善の目的としても温清飲が使われています。

冷えやけん怠感に使う真武湯

真武湯(しんぶとう)も尋常性白斑の療法に使われる薬剤です。冷えやけん怠感が強い時や、めまいや動悸があり尿量が少ない時、下痢の時に使われる漢方です。

ほかにも、慢性の下痢や胃下垂、低血圧、高血圧、慢性腎炎、カゼなどの症状がある際にも真武湯が使われます。

真武湯は、副作用の恐れがあるため、体力が充実している方や暑がりでのぼせやすい方は慎重に使用することが求められています。

予防と改善の両方に使える独蔘湯

漢方療法として、独蔘湯(どくじんとう)が使われる場合もあります。独蔘湯は、ほぼどのような体質の方も服用していただけます。尋常性白斑を予防する方も無いでしょうが、他の体調管理に役立てながら、副反応として改善がみられるのが特徴です。

独蔘湯(どくじんとう)の主成分は紅参(コウジン)と呼ばれる日本薬局方にも収載された生薬です。中国最古の薬物書である神農本草経の上品(じょうぼん)に属し、無毒で長期服用が可能な養命薬とされています。

紅参は代表的な補気薬で、高価な薬ですが身体のエネルギー不足を改善する働きがあるほか、防御作用を高める働きがあるため、免疫機能の暴走を抑えることがわかっています。
体の恒常性を高める働きがあるため、皮膚免疫を正常化し、免疫の暴走によって破壊されてしまったメラニン細胞をあるべき状態に戻すようです。服用していくうちに、今まで見逃していたさまざまな不定愁訴が改善され、気付いたら皮膚も改善しているようです。

効果を出すまでの期間は人それぞれですが、体毛の周辺から色素が戻り、改善の途中経過で一時水玉模様のようになり、色が戻った皮膚が広がっていきます。体毛の毛根にあるメラニン細胞から色素が遊走すると言われています。外用剤やPUVA療法で改善が見られなかった例にも改善がありましたが、まだ詳細なメカニズムまでは分かっていません。
紅参についての詳細は、こちら「紅参について」をご覧ください。

尋常性白斑は状況やタイプに合わせた治療法を

以上、尋常性白斑のメカニズムや治療方法、そして漢方処方についてお伝えしました。

尋常性白斑は、タイプや症状の進行に合わせたさまざまな治療方法があります。いずれの治療も、根気よく治していく必要がありますので、モチベーションを維持してケアしていきましょう。

尋常性白斑は、社会的QOLに影響を及ぼす疾患のため、ご自身の心の状態や治療へのモチベーションも重視すべき点といえるでしょう。ひとりで悩まず、ぜひご相談ください。

笠原健招堂薬局では体調を確認した上で対応しています。

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