紅蔘について
【紅参について~ごあいさつ】
紅蔘(コウジン)と言うのは、加工法の違いによる高麗人参の一種類です。
みやげ物屋でも売っている一般的な白っぽい白蔘(ハクジン)と違い、皮付きのまま蒸して乾燥してあります。そのため、白蔘なら捨ててしまう皮と皮のすぐ下の成分が安定的に現れており、成分量も確かで効果を期待しやすいのですが、加工に手間がかかるために高価です。当店では、元韓国紅蔘専売公社である「正官庄」ブランドの紅蔘のみ扱っています。
理由は、正官庄ブランドの紅参は、栽培や修治(加工)の面で規格が厳格に守られ、伝統的に最高品質の人蔘として評価されていることからです。
2000年までの16年間に、日本中の著名な医師達のグループ「薬用人参研究会」で集中的に研究をし、世界的な論文発表や学会が実施されていました。当時問題となり始めていた生活習慣病に対しては、効能効果があまりにも多岐にわたるだけでなく、目を見張る効果を上げていて、今でも薬価収載されていますが医療費高騰の一因となりかねないと思われたのか、会が解散する頃には正官庄コウジンは保険に通らなくなってきていました。以来、この生薬は自費で飲む漢方薬となっています。
医師たちの会は運営者の都合で解散しましたが、筆者は下部組織の薬剤師の会の事務世話役を以後10年間していた関係で、ほぼすべての資料を持っており、薬局店頭で活用しています。自分自身も娘もこの漢方で助けられた身として、健康でお困りの方のお役に立てていきたいと思っております。
【1.紅蔘(コウジン)の西洋学的な薬効】
(参照:「紅蔘」多彩な薬効の秘密をさぐるー富山医科薬科大学名誉教授熊谷朗著より)
紅参の薬効の特徴について~科学が明らかにした「紅蔘の神秘」
20世紀後半、高麗人参の研究はめざましく進みました。日本のみならず世界からも第一線の優れた研究者が集まる薬用人参研究会が定期的に開催され、当時の科学の最先端の研究方法によって、古くから伝わる高麗人参「紅蔘」の効果が次々と確かめられて行きました。
(写真)
そこで明らかになったのは、高麗人参「紅蔘」の「神秘的」とでも言いたくなる、一見不思議な作用でした。
からだに起きている異常を正常化しようとするのです。
体には、体温だけでなく、血圧、脈拍、体の中の水分量、血液成分に対しても常に最適を保つ調節のしくみがはたらいていて、ホメオスターシス(恒常性)とよばれています。ヒトの調節の仕組みは、神経系、内分泌系、免疫系の3つに分けられ、それぞれが相互に関係を持ちながら、協力して体を健康に保っています。生活習慣など何らかの原因によって調節のしくみが崩れると病気になります。
紅参には、この調節のしくみに働きかけ、狂いや衰えを正常の方に引き戻す作用があると考えられています。
たとえば、上がりすぎている血圧は下げ、下がりすぎている血圧は上げ、正常な血圧は変化させないのです。
血栓に対しても、急性の大出血に対しては止めるようにはたらき、逆に血栓に対しては抗血栓作用を発揮します。
傷の回復に対しては新生血管ができやすくなって回復を早めますが、がんなど体にとっては不要な新生血管に対しては抑制にはたらくのです。
紅蔘(コウジン)の西洋学的な薬効
広範囲ですが、大まかには以下のような作用が知られています。
1.中枢神経系作用―向精神作用(うつ、不安、心を鎮め穏やかに)、精神賦活作用(心を前向きにしやる気を戻す)
2.代謝作用―新陳代謝促進作用、コレステロール値の改善など、糖尿病関連作用など
3.血液・循環器系作用―骨髄の造血作用促進(貧血改善)、抗動脈硬化・抗血栓、末梢血液循環改善(冷え症に対する効果)、高血圧、心機能、腎機能の改善など
4.消化器系作用―慢性肝炎など、腸内環境作用
5.内分泌系作用―免疫を高める(病気になりにくくする)、性ホルモンに対する作用、低T3症、更年期障害、不定愁訴など
6.がんに対する作用―抗腫瘍作用
紅蔘(コウジン)の西洋学的な有効性の確認=二重盲検法
薬の有効性を証明するための臨床実験の方法として最も信頼性の高いのが、二重盲検法です。患者さんに薬を飲んでいただいて効果を判定するとき、どうしても心理的な作用が影響しがちです。患者さんが効きそうだと思って飲んだだけで、実際に効果が出てしまう事があるので、このような心理的な影響を取り除いたテストでないと正確な判定はできません。そこで、本物の薬と、そっくりな偽物の薬を用意し、処方する医師にも患者にもわからなく二重に目隠ししてテストする方法を二重盲検法と言います。
当店で扱っている正官庄の紅蔘についても、多くの大学病院や大病院で、二重盲検法をはじめとするさまざまな臨床研究がされた時期があり、有用性が明らかにされています。以下、当時注目されたものをご紹介します。
①不定愁訴の二重盲検に対する効果_松山赤十字病院 桑島恵一院長ら(当時)
不定愁訴のある患者に使用。頭痛・頭重・肩こり・腰痛・立ちくらみ・疲労感・息切れ・手足の冷えが改善
②更年期症状に対する効果_大阪市母子センター 荻田幸雄副所長(当時)
更年期障害の婦人72名に紅参を投与、59名に改善効果。
③糖尿病に対する効果_富山医科薬科大学 矢野三郎教授ら(当時)
糖尿病患者52名に対し、自覚症状(全般症状、疲労感、食欲)および検査所見が改善
④慢性肝炎に対する効果_日生病院(大阪) 山本昌弘院長ら
C型慢性肝炎の患者63名を小柴胡湯、紅蔘、小柴胡湯と紅蔘投与群の3群に分けて、6か月間比較。
併用した群は、AST(GOT), ALT(GPT)、MAO(肝臓の繊維化=悪化の指標)などの数値が統計学的に明らかに改善。
⑤脳動脈硬化症に対する効果_松山赤十字病院 金子 仁博士(当時)
脳動脈硬化症の患者40名に紅参を投与、不眠、手足のしびれ、動悸、耳鳴りが改善されました。
⑥高齢者の循環器の機能に対する効果_岩手医科大学 高橋栄司教授ら(当時)
老齢の循環器障害のある方に比較的少量の紅蔘(1日1.5g)を」長時間飲んでいただいたところ、強心作用、末梢血管の血液循環の改善、心臓の動作効率が改善されましたが、血圧や心拍数に悪影響はありませんでした。
⑦脳卒中後遺症に対する効果_国立循環器病センター 尾前照雄院長らの研究
脳卒中の後遺症で麻痺のある方の手足に、冷感・しびれ感のある患者18名に紅参を飲んでいただいたところ、11名の症状が改善されました。
⑧リウマチ患者の末梢循環改善効果_松山赤十字病院リウマチセンター仲田三平博士らの研究
リウマチで手指の冷えがひどかった患者5名に、4か月~2年2か月の長期にわたって紅蔘を飲んでいただいたところ、自覚症状の冷え感が全員改善。サーモグラフィで明らかに手指の温度が上昇していたのが5例中3例ありました。
【2.紅蔘(コウジン)の漢方的な薬効】
紅参の漢方的な薬効は、補気(エネルギーを作り出す)作用です。
帰経は、脾・肺
最古の薬典である神農本草経の「上品(じょうぼん・上薬)」に相当し、無毒で、命を養います。多量または保健薬として長期に飲み続けても人体に害はないために、古来不老長生を願う薬と言われます。
胃腸の働きを丈夫にしてやる気を取り戻し、末梢循環を改善させて細かな浮腫を取ります。
【3.紅蔘(コウジン)の服用量】
保健維持量(健やかさを保つために飲む量)は、生薬換算で1日約3g
治療量は、生薬換算で1日10g(少なめの治療量で5g)。
がん患者など古い文献では1日30~50g飲まれていたとありますが、一般的な治療量は1日10ℊと言われています。
医師たちの研究成果は保健維持量(健康を維持するための量)で出してあるものが多いですが、効果を期待したい場合は治療量での服用をお勧めしています。ある程度病状が安定した後は、保健維持量に1日服用量を落として継続されると良いでしょう。
【紅蔘(コウジン)の服用時間帯】
食前・食間・食後、いつの時間帯に飲んでも構いません。
高血糖の方は、食前に服用することをお勧めしています。
【紅蔘(コウジン)の剤型】
服用する時の飲みやすさを目的として、複数の剤型があります。ライフスタイルや、服用目的、服用量とあわせてお選びいただけます。
紅参のもつ魅力を余すところなく体に取り込みたい方へ
・紅参末:紅蔘(コウジン)をそのまま粉に引いたものです。医療用の紅蔘(コウジン)はこの剤型です。
・紅蔘錠:紅参末をそのまま打錠して錠剤化したものです。1錠が紅蔘0.3gに相当し、1日3回1回4錠ずつ服用して、生薬換算で1日3.6g相当の紅参を飲むことになります。
紅蔘のもつ効果をいち早く利用したい方、治療的に使いたい方へ
・紅蔘精:紅蔘を煎じてエキス化したものです。エキス1gは生薬換算で紅蔘2.6gに相当し、1日3回そのままもしくは白湯に溶かしてのみます。
・紅蔘丸:紅参精に寒梅粉等を混ぜて丸剤に加工したものです。1丸は紅蔘約0.2gに相当し、1日3回1回5丸ずつ服用して、生薬換算で1日3.2g相当の紅蔘を飲むことになります。飲む時間帯は、食間です。
・中切高麗蔘:乾燥させた紅蔘(コウジン)をそのまま砕いたものです。煎じて服用します。
1gはそのまま紅蔘1gに相当し、砕くときの大きさや切り方により、細切や切片などの分類がありますが、当店では現在中切タイプを使っています。
治療量を服用されるときにおすすめです。(煎じ方は、こちら→YouTube)
効果と簡便さをあわせもったドリンクタイプ
ドリンクタイプ:エキスと他の生薬を少量入れて飲みやすくしてあり、携行便利です。
・レギュラータイプドリンク:内容30ml中に生薬換算約3g相当の紅蔘エキスを含有しています。
・ロイヤルタイプドリンク:内容30ml中に生薬換算約6g相当の紅参エキスを含有しています。
お茶代わりに気軽にどうぞ、ノンカフェインで、体があたたまるのが分かります。(※個人差はあります)
高麗紅参茶:フリーズドライのお茶です。お湯で溶かすだけで飲めて便利です。一包に紅蔘0.8g含有しており、1日3回の服用で、生薬換算2.4g相当の紅参を飲むことになります。
紅蔘(コウジン)の煎じ方
↓煎じ方をまとめたPDFはこちら↓
紅蔘(コウジン)の煎じ方
笠原健招堂薬局で使用している紅蔘について
糖尿病性網膜症におすすめしているものと理由
以下もあわせてご覧ください。
■糖尿病性網膜症の方に漢方薬と栄養素を併用するわけ
https://mbp-japan.com/ishikawa/kenshoudou/column/5029519/