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放射線照射に対して、防御効果のある漢方~とくに造血幹細胞に対する紅参の効果 ―骨髄抑制や造血異常の方への店頭例―

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核爆弾の被害者が白血病に苦しむ話を耳にしたことがあると思います。
同じように、必要あって放射線照射を受けて、その副作用から貧血に苦しむ方もあります。
今回ご紹介するのは、紅参が放射線障害の予防と回復に効果があったこと。中でも造血細胞の放射線照射からの高い防御効果があって、免疫能の低下も防いでいた論文です。

研究対象とした骨髄の造血幹細胞は、放射線照射でダメージを受けやすい細胞

ヒトの細胞には、特別に活発に増殖する細胞があります。骨髄細胞・毛乳頭・真皮乳頭・生殖細胞などです。放射線の照射を受けると、ダメージを受けやすい細胞で知られていて、貧血などの造血障害・脱毛・爪の黒化・不妊で悩む方があります。
今回の研究結果で確認している細胞は、マウスの骨髄の造血幹細胞数(CFU)です。

研究で確認したことは2つ

この論文では2つの効果をみています。つまり①紅参を飲むことによって全身への放射線照射で傷ついた造血機能が回復するのか?つまり具体的には、赤血球や血小板が再び作られるようになるのか?次に,②糞便中への出血の程度を確認して、ほんとうに出血を予防するのかどうかという点です。

紅参を飲む時期はいつ?期間は?

紅参成分を服用したのは、放射線照射の直前と、照射後3日間
研究に使ったマウスの月齢は、生後6週間のマウスでしたから、人に換算すると13歳くらい。思春期の細胞分裂の活発な若い時期に放射線を照射したことになります。また、服用期間は、ヒトに換算すると約3か月。
赤血球の寿命は120日(約4か月)ありますから、これくらいは飲んだ方がいいという事でしょう。

紅参の服用量はどれくらい?

この研究では成体マウスに対して、一匹に16mg~少ない量として8mg服用させています。成体マウスの体重は約19gなので、ヒトの成人体重を60kgで換算して、少ない量で25g、多い量で50g。紅参は高価な生薬ではありますが、この量は、本場韓国の文献に載っていたがん患者に対する量と一致すると記憶しています。日本での一般的な治療量に比べると多い量です。

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筆者自身は動物実験を扱ったことが無いので正確な人への換算ができないのですが、当時のこの研究会の医師が使った量として考えると、マウスに使った量は人に換算すると1日量は10g、少ない方の量で5gに相当するのではないでしょうか?

結果

紅参を飲んでいると骨髄幹細胞の減り方が少ないです(図1)

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ドナーマウスに放射線を照射すると、放射線量に応じて確実に造血幹細胞数は対数的に著名に激減します。が、紅参を飲んでいたマウスは減り方が少なかったです。

紅参を飲んでいたマウスは、造血幹細胞の数が回復しています。(図2)

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ただし、半分量の紅参を飲んだマウスはほとんど回復していませんから、回復を求める時には必要量の紅参を飲む必要がありそうです。

紅参を飲んでいたマウスは、糞便中への出血が抑えられていました。(図4)

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マウスにあてる放射線量が強いと出血傾向が強くなります(図3)。そこで強い方の放射線を当てて実験をしています。出血は11前後と15日前後にピークがあって出血が増えているのが分かります(図4)が、紅参を飲んでいたマウスは出血が低く抑えられているのが見えます。

放射線照射が決まったら、受ける前から治療量の紅参を服用しておくのが、副作用予防と回復には良さそうです。

服用例①(リウマチ薬の服用による骨髄抑制と浮腫に服用)

長年リウマチ薬を服用していて、そのせいで白血球値も赤血球値も血小板値も低くなっていました。貧血は元々感じていましたが、春の長い連休が始まったところで主治医も不在で、全身の浮腫が出て困っていたところ、看護師の妹がこちらを紹介してくれました。すぐに紅参を独蔘湯として煎じて妹が持って来てくれ、飲むとその日のうちから浮腫が取れはじめて、リウマチの痛みも軽くなり、無事に連休を過ごすことが出来ました。続けて飲むと良かったのですが、もともと透析に移行するための入院直前でした。やむなく中止しましたが体調は劇的に改善したので、もっと早くに紹介を受けていればもう少し仕事を続けられたのではないかと今でも残念に思っています。
※紅参は透析への移行期間を数年延長するとの報告があります。(別のコラムでご紹介)

服用例②(~全身浮腫も取れて、10年後には白血病の病名返上)

男性、病名:慢性骨髄性白血病
放射線障害とは全く違いますが、造血細胞の正常化という意味で、白血病の方に飲んでいただいた経験があります。彼は、ある日突然診断を受けていますから、事前準備などという事は出来ていません。来店時には、本人と分からないほどに浮腫で人相も体型も変わってしまっていました。
骨髄細胞に働きかけるものは他にもありましたが、全身浮腫もありましたので紅参を選びました。紅参は、肺経と脾経の薬で、末梢の循環を改善させて水をさばき、腎からの排泄を助けます。
10日分の治療量の紅参をお渡しし、約1週間飲んだところで再来店がありました。お会いして安心しました。ほぼ元の姿に戻っていました。浮腫が改善して、10kg体重が減ったそうです。来店時、余命1年の宣告を受けておられましたが、10年経って病名を返上しておられます。
※1この方は、この余命1年の間に孫の顔を見たいとおっしゃいまして、不妊治療中のお嬢さんの手当てから始め、余命期間の間に出産いただきました。この子が現在小学生となっています。
※あきらめている方の役に立ちたいから、どうしても自分の写真を使ってほしいとおっしゃっていただきまして、ご本人のお写真を掲載しております。

参考文献

  • 放射線障害に対する薬用人参を中心とした漢方薬の効果
    The GINSENG REVIEW No.12(1991)p54- 関西医科大学放射線科 田中 敬正ほか
  • 放射線照射マウスに対するコウジン末の防護効果―特に造血幹細胞についてー
      The GINSENG REVEW No.14(1992)p21- 関西医科大学放射線科 田中 敬正ほか
  • 薬用人参‘85 p71-83-その基礎・臨床医学研究―放射線障害と人参 米沢司郎
  • 白血病患者に対するサポニンの作用
    The GINSENG REVIW No.27(1999)p53 千葉大学医学部第二内科 西村美樹ほか

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