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紅参(コウジン)成分のステロイド剤の副作用防止作用

店頭での使用例~アトピー性皮膚炎の改善に

薬局店頭にはアトピー性皮膚炎などでステロイド剤を使い続けた結果、皮膚乾燥や皮膚感染症、発赤、全身倦怠感、低体温など、さまざまな不調に悩まされて来店される方があります。
今現在の不調を去るときは漢方薬や栄養素補給、ビタミンクリームなどほかの方法を使いますが、根本的に向き合わなくてはいけないときには紅参(コウジン)は頼りになります。

使用例の紅参量は、一般的な治療量~少なめの治療量を使います。
紅参生薬として、1日10g~3g

 その際、何度も経験してきたのであらかじめ申し上げるのですが、一時的に浸出液が増えて一見悪化したかのように見える時期が多くの方にあります。それも、テープの巻き戻しのように、順に悪化時期をたどります。現在→高校時代→中学時代→小学時代→幼い頃のように順に、悪化時期に応じた場所から浸出液が出ています。大変悩んだ挙句に来店される方があるので親子で記憶しておられ、そのようにおっしゃっています。すっかりたどると、健康的な皮膚になっていかれるので不思議です。なぜこのようにたどるのか理由は分かりません。

 『両刃の剣』とも称されるステロイド(GC)剤、最近はドラッグストアや量販店でも販売され、多くの方が手に取るようになっています。一般にステロイド剤と呼ばれる副腎皮質ホルモン剤は、グルココルチコイドとして40年以上前から市場で一般的に使われるようになってきた薬です。多くは皮膚外用剤として皮膚の炎症に使用して市販されています。

炎症が早く取れて便利な薬ですが、反面体の中で知らぬ間に多くの副作用を起こしかねず、気づかぬうちに乾燥肌や易感染性により次なる病気を引き込む原因になりかねません。ところが、人の体にもともとわずかしかないホルモンを使うわけですから、知らずの間に副作用も生じます。そして、多くの場合副作用は長引きます。筆者もその一人でした。
そこで、今回は紅参成分のステロイド剤に副作用防止作用についてご紹介します。

研究者の紹介

紅参(コウジン)は過去に多くの日本の医師たちによって日本薬用人参研究会で研究されていましたが、当時静岡薬科大学滝野吉雄・谷澤久之もその研究会に所属して研究していました。

研究内容の紹介

彼らは、紅参(コウジン)成分の①体重に対する作用,②副腎重量に対する作用、③胸腺重量に対する作用、④血清カリウム濃度に対する作用から、ステロイド剤による副作用防止作用の有無を見ています。

研究に使った紅参(コウジン)は、7日間使っても影響を及ぼさないレベルの少ない量

彼らが実験に使ったのは、重量を測定する必要があったため人ではなく右側副腎摘出ラットでしたが、7日間使っても先ほどの研究に変化を及ぼさないレベルの量を選んで使っています。

紅参(コウジン)成分は、ステロイド(GC)剤による3大副作用から保護

①体重に対する量

ステロイドホルモンの外用や内服で、ムーンフェイスや中心性肥満に悩む方々があります。8日間の服用では、体重のほか肝臓・心臓・左腎・右腎の重量変化はありませんでした。

②副腎保護作用

ステロイドホルモン(糖質コルチコイド、GC)の分泌は脳の脳下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモンACTHと呼ばれるホルモンによって調節されています。
ステロイドホルモン(GC)量の体内流通が多ければ分泌を抑え、足りなければ追加分泌を促すと言った体の中でホルモン量を一定に抑えるためのコントロール機構が体には備わっているのです。
この経路は、脳下垂体ー副腎皮質系と呼ばれています。ステロイド剤(GC)を長期にわたって使用すると、このネガティブフィードバック機構によって、ステロイドホルモンの分泌が抑さえられ、このホルモンを分泌している副腎も委縮(atrophy)してしまい、副腎不全をや離脱(困難)症候群につながっています。
滝野氏らの実験でもやはりステロイドホルモン(GC)の使用によって有意に副腎の萎縮がみられていました。
ところが、紅参(コウジン)成分を加えたラットは委縮しませんでした。比較として紅参(コウジン)成分だけを摂ったラットの副腎が肥大した結果はなかったので、紅参(コウジン)成分の作用は、脳下垂体ー副腎皮質系に対する作用というよりも、副腎の萎縮に対する拮抗作用と示唆されると結論付けています。
   ここで柴胡サポニンは紅参(コウジン)成分以上に副腎の重量低下を抑えていましたから、紅参を柴胡剤と服用するという方法もありそうです。
   副腎が委縮してしまうと、肝心な時にステロイドホルモンが分泌できなくて、刺激に対する抵抗力の弱いからだになってしまいます。
委縮した副腎が元の大きさに戻るとまでは研究結果にはありませんでしたから、こちらはもう少し資料を探してみる必要がありそうです。

③ステロイド(GC)剤による胸腺の萎縮防止作用

胸腺は、免疫機構に対して大きな役割を担っています。骨髄で作られた白血球細胞の小学校とも呼べる教育機関のようなものです。胸腺(Thymus)でT細胞は成熟し、免疫系に対して作用するようになります。ところが胸腺はステロイドホルモン(GC)剤の作用を受けやすく、ステロイドホルモン剤を使ったときに細菌感染症が増加する一因にもなっています。また、この胸腺委縮作用や免疫低下作用を利用して、免疫抑制剤として使用されるという一面も持っています。
市販されていて忘れられがちですが、ステロイド(GC)剤は免疫抑制剤です。
この胸腺に対しても紅参(コウジン)成分は重量低下防止作用を示しました。
紅参を飲んでいると免疫を正常に維持することができそうです。

④ステロイドによる浮腫高血圧など副作用防止作用

最近のステロイド(GC)剤には、副作用が抑えられるように作られていますが、一般的にはナトリウムNa+貯留による低カリウムK+血症や浮腫、さらには高血圧への注意が必要と言われています。
  ところが、紅参を取っていた群には、これらの副作用は明らかに抑えられていました。

⑤胸腺は紅参により組織写真をみても守られていた。

8日間のステロイド(GC)剤および紅参(コウジン)成分の使用で、副腎の萎縮と肝細胞の肥大がありました。紅参(コウジン)成分を加えた群では、副腎の萎縮は見られずステロイド(GC)剤使用で見られた変化が正常化する傾向がありましたが、肝細胞の脂肪変性までは改善されていませんでした。

まとめ

『両刃の剣』とも称されるステロイド(GC)剤、種々の副作用のうち、副作用につながると考えられる副腎、胸腺の各委縮作用を、紅参(コウジン)成分は明らかに抑制し、血清カリウム+濃度に対する作用に対してはほかの生薬にない好ましい生理作用があることが分かりました。

この論文は、動物を使う実験今からステロイド(GC)剤を使う決心がつかない方、今までステロイド剤を使って副作用に悩んでいる方々の助けになる可能性があります。

 この研究ではマウスを使っています。12か月齢(1歳)のマウスは、ヒトでは30歳くらい、24か月齢ではヒトでは60歳くらいに相当すると言われています。この研究のマウスは8日間で結果を見ていますから、ヒトに換算すると約2年半、気長に対応することで予防改善の余地が見えてきます。店頭で拝見している分には、1か月から効果が分かり始めて~少なくとも4か月程度は継続していただいています。

【参考文献】The GINSENG REVIEW 1984 Vol.2 No.3 p27-36(PDF)

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